叶ったらビビる
通りがかりに撮った 曽根崎お初天神通り。曽根崎心中ゆかりの地、とかって物騒だが、こうして歴史ある地♪みたいな感じになったのも全て近松門左衛門の御蔭だろう。近松門左衛門の書いた作品がその舞台が異例の大ヒットをかましたから。
彼がいなければ単なる情死として処理されていただろう。だって言っちゃぁ悪いが、情死でしょ。なんだかなーって感じだ。それに作った人が悪いのかもしれんがこのお初さん、島原落ちの遊女だがお世辞に言っても美しいとか可愛いとかは言えない風貌。昔はこれが綺麗だったのか? 現代とは感覚が違うからなぁ。

1702年12月の赤穂浪士吉良邸討ち入りにより、大石内蔵助ら47人が1703年2月に切腹させられている。そして同月には、すでに芝居小屋で赤穂浪士の事件が上演されていた。江戸幕府から 『前々も令せられしごとく。当世異時ある時。謡曲。小歌につくり。はたさお梓にのぼせ売ひさぐ事弥停禁ずべし。堺町木挽町劇場にても。近き異時を義する事なすべからずとなり』 と大成令が発せられ赤穂浪士の件で儲けるのが禁止されている。
その2か月後の1703年4月、ここ露 天神社で堂島新地天満屋遊女お初と内本町平野屋醤油屋手代徳兵衛が情死をしている。事件8日後の4月15日には曽根崎心中が歌舞伎舞台で上演されている。まぁ歌舞伎では、1683年から既に心中事件を舞台で扱っているのでニュースを流しているような感じかな? 吉良邸討ち入りや赤穂浪士の切腹なども同じノリだろうが幕府に都合が悪いからだろう、禁止されたのだが。

歌舞伎では心中物を扱うのは当たり前だったが、浄瑠璃で心中物を扱うことは過去無かった。舞台にもいろいろ工夫を凝らし仕掛けを加え浄瑠璃で初めての心中物の座は、近松門左衛門の書いた曾根崎心中の上演が大当たりし、竹本座は16年間の慢性赤字を一挙に解消することが出来たほど大流行りした。
故に、近松門左衛門の曽根崎心中がなければ、こうしていま現在、恋の神様として祀られることもなかっただろうし、お初も徳兵衛の事も知らない人がほとんどだっただろう。正直言って、ここは二人の自殺場所だっただけなわけですし。
江戸時代の元禄年間に武士の身分を捨て身分の低い階級として見下されていた芝居の世界に入った芝居好きの近松門左衛門は、歌舞伎・浄瑠璃作品の書き手として既に長く名を挙げていた。この曾根崎心中は、門左衛門51歳の時の作品。72歳で他界する直前まで作品を書き続けた。

ここは十字路となっていてどの通りからもこの神社に入る事ができる。

なんか、お初天神とかって崇め奉らているのが不思議。道祖神なんですって。この石像もはっきり言って見目麗しいとは言い難い。一説では醬油屋手代の徳兵衛さんはなかなかの美男子だったと言われているが真相はわからん。この石像では残念な感じ。無邪気に笑っているのも痛い。だってここで自殺しただけなんですよ。

近松門左衛門の書いた曾根崎心中が竹本座で異例の大ヒットをかました翌年1704年には、21件の心中事件が紹介されている浮世草子心中大鑑が発刊されている。近松門左衛門の曾根崎心中が大ヒット過ぎたのが原因なのかどうかは知らんが、情死が流行となりそのブームは江戸にまで広がった。
宗教みたいなもんなんですかいなぁ? 心中をすればずっと一緒にいられる♪ みたいな変な洗脳をされたような感じか? ジハードをすれば天国に行け物質的肉体的快楽が得られるとかで自他を殺す人もいますし、サリン事件とかも宗教ですし、宗教団体の集団自殺なんかもありましたしねぇ。なんだかなー。で、
あまりの心中の流行っぷりに、ついに1722年、江戸幕府から 心中物の禁止令が発せられたほど。そして1723年には、情死者の処置についての禁止令が発せられ、死後の埋葬禁止、生き残った場合は殺人者として逮捕し市民権剥奪などの処置がとられるようになった。

近松門左衛門は、曾根崎心中の最後を ”未来成仏疑いなき恋の。手本となりにけり” で締めくくっているが、どうなんでしょうねぇ。良きにつけ悪しきにつけ二人の因縁は高まりそうですがねぇ、恋の手本??? 意味わかんねー。
何かの話の時に知人に見せてもらったのですが、”だんなデスノート” という掲示板がネット上には存在するんですね。ちらっと書き込み見たら怖い怖い。そんな嫌なら離れろよ!っと思う恐ろしい恨みつらみや愚痴や死を望む言葉の数々が満載なのだが、多分そこに書き込みしている女性も、結婚した当初は、好きで好きでたまらない人と念願かなって夫婦になれたのだろう。それがそんな恐ろしい書き込みをするほど憎しみを心に貯めるようになるとは驚きだ。
そこから考えるともし、このお初と徳兵衛が目出度く夫婦になれたとて、その先行きはどうなったのか知れたもんではない。近松門左衛門の曾根崎心中は物語としていろいろ脚色加えて有るが、まぁ当人しか真実は知らないにしろ、恋がかなわないからと心中をするような人ですからねぇ。。。果たして結婚したところで幸せになれるのかどうか。。。

こんな風に、二人で情死しただけなのに、”二人の恋物語にあやかり縁結び” とかって正直意味わからん。鎮守の森を血で汚したんですけどねぇ。まぁ例えば、結婚への障害があったのに信じられないような奇跡が起きて二人夫婦になって生涯幸せに仲睦まじく暮らした♪ とかだったら、この二人にあやかりたい♬ ってのも分かるんですが、情死ですよ。言っちゃぁ悪いが、この二人にあやかる ってのが意味わからんです。

いくら当時は普通に行われていたとは言え金の為に親に売られたのは酷過ぎで、児童虐待どころの騒ぎではないですし、人権がー!って感じですが、こんな事言うの本当申し訳ないですがまぁいずれにしろお初さんはプロの遊女なわけですよ。身請けも出来ないような外見が綺麗なだけの美男子にべた惚れするってプロとして失格じゃぁないですかいなぁ。まぁ身請け金もないのに遊女に本気で恋するような純粋無垢な可愛い人だったから恋をしたのか?とも思いますが、所謂ダメンズですよね。遊女たるもの、男を掌で転がし金を貢がせてナンボ、全く、プロ意識の欠如と言うか、なんていうか。まぁそれが弱い人間らしくていい、って事なのかもしれませんがねぇ。
まぁもともと遊女がお客に 貴方だけ特別♬ って愛の誓いを示すのに、
起請文で愛を誓う→髪を切って愛を誓う→生爪を剥がして愛を誓う→指を切って愛を誓う→入れ墨をして愛を誓う→死ぬ
だったようですが、指詰めした生指渡されて 「貴方だけよ♥」 なんて言われても正直キモイだけのような気がするんですよね。で、生物(なまもの)ですし冷凍庫なんてのもないでしょうし、日干しにしてミイラ状にするか、指もらってもその辺に捨てるしかないし、はっきり言って単なるヤンデレですよね。遊女としてのプライドを持って多くの客を手玉にとって転がせよー。それかお金も持っていて自分も気に入った客をおとして身請させるかのゲームじゃんかー。
中には首吊自殺した遊女の内腿に入れ墨が見つかった、なんてのもあった話だが、その相手の客は他の遊女のところに即乗り換え通って遊んでいる、なんてのもザラですからねぇ。そう考えると徳兵衛さんは視野狭窄に陥っているし甲斐性も無いし全くのダメンズですがお初さんに本気で恋をしていたのでしょう。しかし情死という結末がなんとも情けない。
と、時代も違えば思想信条も受けてきた教育や情報も違い安全な場所で平和に幸せに暮らしている私が上から目線で得意気にドヤ顔で語ったところで、かのアインシュタイン博士も 『無限なものは二つしかない。それは宇宙と人間の愚かさだ。ただし、宇宙はもしかして有限かもしれないが。』 と仰せだった。人間とは無限なまでにかくも愚かしい生き物なのだ。が、

思い通りにならなかったり、辛い思いや悲しい思いや悔しい思いや切ないやるせない思いをしたりすることは誰にだってありますよねぇ。そんな辛さもこれ一興っと味わいながら生きることで人間としての深みも厚みも重みも出てくるもんだと思うんですよ。死ぬほど好きで恋焦がれた人と夫婦になれなくとも、心に苦い痛みを感じながら生きていくのもまた一興。
地球の歴史から考えたら人間の一生なんて、私たちから見る寿命の短い虫と同じですよね。一日しか生きれない虫がショックな事があったからと半日で自殺してる現場見たら仰天しません? どうせもうすぐ死ぬんだから取り合えず最後まで虫生味わってみろよ、って思いません?
ボロボロになってもいいし泣きながらでもいいから全て味わい尽くし生き切る事が人生の醍醐味。それに自分の命は自分のもの、だからどーしよーが自分のかってw ってのも傲慢な思想だと思うんですよね。
って事で、二人が心中事件を起こしたこの地は、”恋人の聖地” とか ”プロポーズにふさわしいロマンティックなスポット” とか選定されたそうだが、曾根崎心中、ケッ!! って感じだ。こんな所でプロポーズされたら私だったらドン引きだわ。

やればできんじゃん! この絵↓の二人は美男美女でいい。可愛いし爽やかな風のようで好感が持てる。曾根崎心中は、ケッ!! だがな。

ハート形の絵馬が所狭しと沢山ぶら下げられているのだが、ちらっと見た限りでは女性が書いたものだらけだった。”この恋が叶いますように” とか ”一生一緒にいられますように” とかそういった言葉が丁寧な字で書きこまれていた。なんか頼む相手間違っているような気がするし、そういうのってそうやって叶えるもんなのか???
最後に、お初さんと徳兵衛さんのご冥福をお祈り申し上げます。合掌。
心中とか物騒な話だけではなんなんで、これ↓貼っておきます。

今日は大晦日ですね。本年も大変お世話になりました。どうも有難う御座いました。素敵な年越しをお迎えください。↓もしよかったら押してね↓



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