謎解き

「会いたいね～、会いたいね～」　とやけに言ってくる人がいる。

何故そんなに会いたいのか、謎過ぎて謎過ぎて不思議だった。

私はというと、会いたい、会いたい、と不思議なほどにその言葉を連呼してくるその人たちに全然会いたと思わないし、冷たいようだが、いや、実際のところ冷たいのだが、正直その人たちに会う時間が勿体ない、と思っている。なので拒否し続けそしてずっと放置している。そもそも、会ってどうするの？？？　なんでそんなに会いたいん？？？　と意味不明だった。相手は何か知らんが会いたがるが、私は会っても退屈なだけで単なる時間の無駄、としか思えず。

ずっーと断り続けているにも関わらず、不死鳥のごとく、会いたいを連発してくる。謎は募るばかりだった。「会いたいと思わないの！？」　などと逆に不思議がられる始末。申し訳ないが会いたいなどとはいっさい思わない。




が、ちょっと考えてみると、そんな一方通行的な関係ではなく、私も会って時間を共有したいと思う人がいてお互いに時間を取って自然な形で会っている。家族なんかもそうだなぁ。それはとても素敵な時間だ。なので、私が特別に人と会いたがらないとか、人間嫌いとか、極度の偏屈者とか、対人恐怖症とかそういうのではないのだろうとも思っていた。



で、わかった。


人間は食料として、豚や牛や鳥さんなどを殺して食する。豚さんなどを見ただけで　「美味しそう！」　などと言う人間もいる。人間の多くは豚や牛や鳥さんたちのお肉を食べたい！　と熱烈に思う。だが、食べられる側の豚さんや牛さんや鳥さんたちだって生きたい。人間たちに食べられたいなどとは思わないだろう。

これには、(極一部の特殊な人を除いて)人間の耳に聞こえる形での言葉らしきものを発しない＆感情表現らしきものをしない＆動いたりしないという特徴はあるが人間が食用としている葉っぱさんや果実さん等などの植物もこの話に属する。人間側のあくまでも一方通行の強烈な思いで捕食する対象であり、相手の意思や感情や都合などはお構いなしに、一方的に自分の欲望や都合を強制的に押し付けて、食べたい食べたいとし飼育したり栽培したりして命を奪い取っている。相手はそんなの嫌だろう。



そう思うと、一方的な関係というのがどういうのかが分かる。片一方にしかメリットがない関係という事だろう。


片一方だけが　会いたい、会いたい、と懇願しているケースは上記の例と同じで、会いたいと欲する側は対象者と会う事によって何らかのメリットがあるのだろう。逆に会いたいと言われても全く会いたいなどと思わない相手と言うのは、その人と会っても何も得るものがないばかりか有形無形かかわらず何かを吸い取られ奪われる一方だから、会いたいとは思わないのではないのか。



会ってお互いに楽しい時間を共有したり、癒しや優しさやエネルギーなどなどを高めたり交換することができたりなど、目に見えずとも互いにとって何らかのメリットがある場合は、互いに、会いたい、ということになるのだろう。

また、接待などという形でどちらかが相手をチヤホヤもてなす場合も、契約や関係継続などなどで互いに利益があるから、もてなす側は面倒でもしゃーないやるか、となるのだろう。相互利益にもなるが、本当は己の側のメリットのために。




まぁうまく洗脳することができれば、洗脳された側はなんら自分にメリットがなくても自分に言い訳をしながら、そして内心や陰でブーブー文句言いながらでも会ったりしてくれるのだろうが。まぁ洗脳された人間が怪物に食べられるのを名誉なことだと喜び、美味しい肉になろう！などとジムの広告があったりする漫画があったが、そういう洗脳するのに成功した相手でもなければ、自分にとって全くメリットのない存在には近づきたくないのが生き物というものなのだろうと思う。これにて長年の謎が解けた気がする。

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