犯罪者が被害者面
”囚われし者たちの国” を読んだのだが、なんかモヤモヤむかつくのでここに晒すことにした。
==引用開始
アメリカは世界で最も大勢の人を投獄している国であり、およそ230万人が鉄格子の中に暮らす。これは成人100人につき一人の割合だ。アメリカが世界人口に占める比率は5%弱にすぎないのに、囚人の人口では世界の25%に達する。何らかの矯正プログラムの監督下にある人数は約700万人。成人の31人に1人だ。さらには、成人の囚人の25%が精神疾患を抱えている。また囚人のかなりの割合は、薬物犯罪で長くつらい刑期を務めている。連邦刑務所ではそれが全体の51%にものぼる一方で、強盗犯は約4%、殺人犯は約1%しかいない。
==引用終了
精神疾患のある人は、精神科に行って治療するべきなんでしょうがどういう事なんでしょう?? 薬物犯罪が多いようですが、”薬物犯罪で長くつらい刑期を務めている” というのはそもそもルールを破ったから刑期を務める事になったのだからルールを破るほうが悪いですよねぇ。そのルールが気に食わなかったら法律を変えるように動くべきでしたねぇ。
しかし、強盗殺人の割合が5%という事で、なんかホッとした。
==引用開始
唖然とするような人種間の不平等も突き付けられた。現在、刑法に基づいて監視対象となっているアフリカ系アメリカ人の数は、1850年当時の奴隷の数よりも多い。また、黒人の方が白人より6倍も刑務所に入れられやすくなっている。2001年の時点では、黒人男性の6人に一人に服役経験があった。黒人の子どもの4人に1人は、18歳になるまでに親の投獄を経験する。
==引用終了
黒人だからという事だけで何もしていないのに刑務所に入れられるとしたら酷い話だが、どうやらそうではないようだ。子どもが親の投獄を経験するのは親が収監されるようなことをしたからのような気がするのだが。

==引用開始
アメリカが犯罪者の矯正に支出する額は500億ドルを超える。過去20年の間に刑務所につぎ込まれた費用は、高等教育費の6倍もの上昇率を見せた。若者一人を投獄するには年間8万8千ドルかかる。同じ人物を教育するのに必要な1万653ドルの8倍あまりだ。
==引用終了
犯罪者の矯正プログラムを受けている人は成人の31人に1人だし、犯罪者の矯正に500億ドル支出しているって凄い。犯罪者の矯正に力を入れているんだなぁ。アメリカって超学歴社会らしいですねぇ、大学進学率でも50%は超えていましたよねぇ。確かにトップ階層と下層階層の貧富の格差は日本の比ではないような話も聞きますが。しかし、成人100人に1人が刑務所暮らしって一体何があった? 同じ人が何回も入っているのか?
で、この著者は世界の複数の刑務所を旅するんですね。
==引用開始
被害者になるのは悪夢以外の何物でもない。しかしその悪夢のなかには、少なくとも自分は何も悪いことをしていないという一片の誇りがある。加害者になれば、死ぬまで加害者であることの恥辱を噛み締めながら生きるしかないのだ。
==引用終了
う~ん、この著者は優しい方なんでしょうね。無期懲役囚の美達大和さんの御本を読んでいなければ私もそんな悪い人いるわけないよね、と思って騒いでいたかもしれません。そういう意味で、美達大和さんが刑務所の住人達の実態を暴露してくれた事には物凄い意味があると思います。美達大和さんは今でも読書をしまくりレビューを編集者に送付しブログ更新もなされていますし、本も執筆していますし、彼にはワープロ機能のみの機械をあげてもいいやん!って思いましたが、それだったらシャバに出てこいや!って感じがするので今のまま頑張ってもらうしかないでしょう。
いやぁしかし、こういう御涙頂戴系を聞いてもビクともしないのは全て美達大和さんのお蔭です。
==引用開始
『犯罪とは、私たちが違法と定める個人の暴力をいう。同様に、刑罰とは、社会が合法と定める集団の暴力のことである。』
アメリカでは刑罰が好まれている。私たちの恨みが何百万個もの牢獄に姿を変え、投獄の文化として結実している。 私たちはよりよい世界をつくらないといけません。これは平和構築活動の一環です。刑務所にいるあの人たちも、ほかの人と同じ人間です。それを忘れてはいけない。あの人たちもいつかは家に戻ってくる。そして私たちはみんな一緒に平和に暮らすんです。
==引用終了
えぇ、美達大和さんのお蔭で、こんな言葉を聞いても鼻で笑えるようになりました(笑)

==引用開始
ウガンダでは、約3万5千人が獄中にいる。約半分は未決拘留であり、彼らが暮らす施設の本来の定員は合計1万5千人だ。ウガンダ刑務局が2004年に発表した統計からは、定員23人の刑務所に265人を収容。
重労働を拒む者は鞭で打ち据えられたり、石打の刑に処せられたり、手錠で木につながれたり、あるいは火をかけられたりしていた。衣服を剥ぎとられて裸にされ、くるぶしまで水に浸かった牢獄に押し込まれるケースもある。
==引用終了
これは予想を上回る犯罪率という事なのでしょう。定員オーバーが凄いですねぇ。また、重労働を拒なければ体罰をされないのだから素直に従えやって思ってしまいます。それが嫌なら刑務所に入らなくてもいいようルールを守って暮らせばいいのですから。
==引用開始
世界全体では、62万5千人を超える成人女性と少女が投獄されている。アメリカの女性受刑者数は、1977年と比べて823%増加した。現在アメリカでは10万人以上の女性が鉄格子の中におり、その約7割は非暴力的な犯罪で収監されている。この状況は他の様々な国にも当てはまり、女性は窃盗、詐欺、薬物が原因で服役することが多い。
ヨーロッパでは女性囚人の8割に明確な精神疾患がみられ、10人に1人が服役前に自殺を試みた経験を持つほか、75%が薬物やアルコールの問題に苦しんでいると推定されている。アメリカでも精神疾患にかかっている女性囚人の割合は約73%だ。
==引用終了
何故、精神疾患者が精神科で治療をしないのかが謎だ。それとも精神疾患者で治療中に犯罪を犯したけれども実刑になったという事なのだろうか? 非暴力的な犯罪だから許されるというものでもないし、少なくとも窃盗と詐欺は真面目に生きている人たちからすると迷惑甚だしい。
==引用開始
タイでは、乳児のいる母親が100人程収容されていて寮で共同生活をしている。赤ん坊は1歳までここにいる。3歳までは法務省の提供する家で暮らし、週に一回、母親に会いに来ます。そのあとは家族が引き取って面倒をみなければなりません。さもなければ孤児院。母と子が濃密な絆を育む最初の一年が過ぎると、別れが待っている。それは胸を締め付けられるような光景だ。
色々なプログラムを受けられても、ちゃんと世話をされていても、あの人たちが幸せではないということが。自分の子どもや母親と一緒にいたいに決まっています。
女性が、母親が、娘が、血肉を分けた者たちから切り離されて人間倉庫に放り込まれている。
==引用終了
何言ってんだこいつ? ってしか思わないのだが。そもそも刑務所に入るようなルール違反をするのが悪い。血肉を分けた者たちから切り離されて人間倉庫に放り込まれたくなかったら犯罪犯すな!と言いたい。
==引用開始
過剰な薬物政策のせいで、世界のどこでも刑務所は人であふれている。アメリカとメキシコの連邦刑務所では、薬物使用者と密売人が囚人全体の半数あまりを占める。スペインではそれが全体の4分の1、日本では5分の1程度だ。マレーシアではその両者が、約900人いる死刑囚の半数を超える。
==引用終了
なんか被害者面しててムカつくわ。ルールを守らない奴が多すぎるのが問題だ。法律が分からなくて法を犯しているのなら、国民に法律を教えるしかないなぁ。非暴力的な犯罪だから薬物は合法にしましょう♪ってのはそれぞれの国が決める事だしなぁ。
==引用開始
刑務所と貧困について語られるとき、世界のどこでも必ず問題になるのは父親の不在だ。しかしこの息子の隣には、刑務所生活を送る父親が存在している。父が噛み締めているに違いない自らの失敗の深さ。
==引用終了
これも被害者面しててムカつく。決められたルール守っとけば息子と一緒にいられましたよねぇ。”父が噛み締めているに違いない” ってこれは噛み締めているのかな??? あくまでも著者個人の感想だ。
==引用開始
先月、19歳の若者を受け入れたんです。その子がここに来たのは検察官の顔に唾を吐きかけたからなんです。』アメリカでも同じだ。懲罰用の独房に送られる理由は、一貫しているとは言い難い。例えばニューヨーク州ではSHU送りになった事例の約84%が非暴力的な行為を原因としている。
==引用終了
これも検察官の顔に唾を吐きかけるなんて19歳の人が悪いですよねぇ。この著者は、非暴力的な場合は寛大な処置を望んでいるようだが、暴力使わなくても人を壊すことはできますよねぇ。非暴力なのに身の毛もよだつような悪質な言動もありますよねぇ。
==引用開始
先住民の人口はオーストラリア人全体の約2%であるのに対し、囚人の数で見るとその比率は全体の27,5%にのぼる。西オーストラリア州はアボリジニの投獄率が国内で最も高い。それはアメリカ国内のアフリカ系アメリカ人の投獄率をはるかに上回る。じつに20倍近くだ。アボリジニの24人に一人が鉄格子の中にいる計算になる。アボリジニの若者が拘禁制を言い渡される回数は、他のどんなオーストラリア人よりも50倍ほど多い。
==引用終了
ここでこの本”囚われし者たちの国”に載っていたオーストラリアのアボリジニの囚人たちの言を披露しましょう。
『他の全ての人の利益のために犠牲にされている。見せしめ。抑止。生贄。』
『私たちのようになるのがいかに簡単か、世間は気づいていない。』
だってさ。人のせい社会のせいでこうなった、自分は悪くない、犠牲者だと。アホか。
そしてシンガポールの刑務所に服役している囚人の言を聞いてみましょう。
『出所しても誰も雇ってくれない。肉体労働だけ。厨房とか、肉体労働。』
変ですよねぇ。誰も雇ってくれない、と悲惨っぽく被害者面しているのに、肉体労働とか厨房の仕事はあるんですよねぇ。仕事選んでるんじゃねぇよ!そんな立場か!? と言いたい。違う仕事したいなら努力して他の技能や知識を身に着けるとかすれば話は変わるかもしれないが。
==引用開始
開放型刑務所は1930年代にフィンランドで生まれた概念で、今では北欧全体で少しも珍しいものではなくなった。開放型刑務所では、服役してからも囚人が外で仕事を続け、刑務所から毎日通勤しているケースもある。ノルウェーでは刑務所全体の約3割が開放型だ。2010年に開設されたイケア刑務所では、295人の囚人が収容され、ほぼ同数の職員が働く。約2億5200万ドルかけて建造され、世界一快適な刑務所と呼ばれて、ノルウェーでは犯罪者が五つ星ホテルで暮らしているよ、と指をさされる対象なのだ。
誰かを矯正する力が最も強いのは、その誰かを愛している人たちだ。その人たちから遠ざけて収監しなければならないのなら、せめて多少なりとも本物の親密さが育める環境を与えるべきだろう。
==引用終了
開放型刑務所の概念はフィンランドで生まれ北欧で普及しているそうだが、私が知る限りではノルウェーでは犯罪発生率も低いし再犯率も20%と低く成功しているようだが、生みの親のフィンランド初めスウェーデンなんかは犯罪多いし治安悪いですよねぇ。それを思うと、開放型刑務所が矯正力が高いとは言えないよなぁ。ノルウェーでは何故成功しているのか、そこを探るのは価値あることかと思うのだが。
で、この著者が刑務所を巡る旅をして分かったことがあるそうなのですが、
==引用開始
1,
人生はただでさえ悲しみに事欠かない。わざわざ地獄を作り出して悲しみを増やしてやる必要はない。
2,
個人の行動より社会の制度を変える事に注力するのが私たちの責務である。刑務所はそもそもの発端からして、権力に飢えた欲深い少数の者が大衆を操るための政治的・経済的な道具だった。
3,
立証責任は私たちではなく彼らにある。犯罪への対処法として投獄を選ぶことに反対する側ではなく、それを支持する側がその責任を果たすべきなのだ。これがほかの制度であれば、失敗率が60%にも達していたら、私たちはすぐにその制度を廃止し、振り出しに戻って計画を練り直すだろう。投獄は、もっと成果をあげているほかの施策がすべてうまくいかなかったときに初めて頼る最後の手段であるべきだ。
==引用終了
人権って儲かるんですよねぇ。他の職業のように顧客が満足する欲するサービスを用意する必要もないし、商品などを仕入れる必要もない。ただ耳障りの良い優しい思いやりにあふれた様な事を声高に叫べばよいだけ。それで寄付を募ったり、虐げられている人たちを守る為に前面に出て戦っている優しく強い人として持ち上げられるし良いことだらけ♪ 人権的な事って誰もが そんなのどうだっていいじゃん!とか言えないしねぇ。そして優しい彼女の言は続く。これはノルウェーの豪華刑務所に収容されている囚人についてだったかな。
==引用開始
どんなに美しくても、フラットスクリーンのテレビがあっても、そこにいるあいだの深い孤独と断絶感と、時が凍り付いた影響を埋め合わせることはできない。目の下に入れ墨をした若者は「笑った」といいながら、本当は心のどこかで泣いていたのではないだろうか。強がっているような、あるいは誇大な宣伝に無理やり乗っているような気配が感じ取れた。
==引用終了
これもあなたの感想ですよね、としか言えない。
==引用開始
どの国も、犯罪につながる状況を改善することに取り組み、はなから刑務所など必要無いようにすべきである。
歴史を紐解けば明らかなように、人種差別や階級差別のしみついた社会制度は、姿形を変えて執拗に生き残ろうとするものだ。大量投獄によって重罪人が新時代の有色人種となり、新たな人種隔離が産声を上げたのと同じである。
==引用終了
なるほど。先に書いていた彼女の言葉を借りると彼女が望んでいる事は、
”古代イスラエル、古代ギリシャ、古代ローマ、東アフリカ、植民地時代のアメリカ、フランスと刑の歴史を調べている。収容してもその期間は極々短く、財産を没収する、石で打つ、杭に縛り付ける、儀式で呪文を唱えて犯罪人を神々に引き渡す、人との接触を禁じる、、鞭打ち、追放、毒物の投与、損害賠償といった刑、さらし台、水責め椅子、ギロチンなどの刑を課せられていたものが、資本主義の成立共にイギリスの流刑地として利用してきたアメリカで独立戦争が起き、アメリカが近代的な刑務所を造りそのモデルが世界中に広まっていった。”
つまりアメリカが近代的な刑務所を造るその前の時代に戻そうという事なのだろうかいなぁ。財産没収、石打、杭に縛り付ける、人との接触禁止、鞭打ち、追放、毒物投与、損害賠償、さらし台、水責め、ギロチン。なんか余計酷くなってきた気がするのは気のせいだろうか????
以前、何かの本で読んだのだが、昔の原住民の人達の集落の中にもサイコパスとか一定数の思考行動がぶっ飛んでいるならず者は時々出てきたようだ。そういう奴はその集落の長が個別に呼んで、本人にわからないように崖から突き落としたりして殺していたと書いてあった。それで集落の秩序と治安を守っていたと。そうすれば刑務所は要らないだろうが。
以前、どうしようもできない精神疾患者とかを収容する快適施設を造って快適監禁生活送らせるようにしようみたいな事をこのブログで書いたことがあったが、この本”囚われし者たちの国”を読んだら、人権に配慮し ”健康ランド” と化している今の刑務所が実質的そういう人達の楽しく健康的な収容所の役割を果たしているなぁと思った。が、
病院も警察も役所も助けてくれない精神疾患を持っていて家庭内暴力をする大きな子どもを持ち苦しんでいる高齢者は救えない。いっそのこと、一緒に収容してあげてほしい、と切に望む。
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