研究者
最近読んで考えさせられた本は、オリヴィエ・ゲーズ著 【ヨーゼフ・メンゲレの逃亡】。ナチスの親衛隊将校の医師でアウシュビッツ強制収容所で働いていたあのヨーゼフ・メンゲレ氏。イスラエルのナチ残党狩りに追われながらも最後まで逃げ切った彼の逃亡生活を史実を元に描かれたノンフィクション小説だ。

逃亡先で匿ってくれている一家を支配していく様や彼自身の息子との交流なども描かれていて人格的にはかなり難ありで境界性人格障害かなと思ってしまうような諸々があり関係者は苦労するわと失礼ながら思ってしまったが、実際彼が行った実験など確かに酷く自分達がされる側だったらたまったもんじゃないんだけれども、私個人的には科学者としての彼の姿勢はもっともだと思った。
研究者として科学者として 自由に使える諸々の環境が与えられたら水を得た魚のようになり今までしたくても出来なかった様々な実験研究を好奇心、探求心のおもむくままわき目もふらず没頭するのは研究者として当然じゃないか、と思った。倫理的には問題有りだろうがもし私が同様の立場だったら実験研究に没頭するだろう、と思うと私は彼を責めることはできない。

この本とは関係ないが、死刑制度の有無については昔から議論が行われているが、私の周囲でも時々その話題が出る。私は "加害者殺しても被害者戻ってこないし単なる一時の腹いせにしかならないのだから無期懲役にして刑務所内で一生働かせておけばよい、ただ犯罪抑止力効果が減ると予想されるから死刑は実際に行われない ということを国民に悟られてははらない" という意見だったのだが、ある時 それで加害者の魂救われるのか?と疑問が生じ、それ以降、死刑制度有無の件に関しては保留だった。
しかしこの本読んで一つ思いついてスタンスが決まった。冤罪の可能性が全くないのであれば死刑制度賛成。てか死なないかもしれないし死ぬかもしれない。正確には死刑ではなく、人体実験研究の被験者になってもらう、ということだが。医療技術の発展などにも貢献出来るし、余計なお世話かもしれないが本人の魂にとっても良いのではなかろうか。ただ死ぬよりいいよな。
ただ、私は警察組織を完全には信じていない。絶対冤罪じゃない!ってどうやったら判るのか。うーん。。いくらでもでっち上げできるだろうしなぁ。そこなんだよなぁ。それに上記の案を言ってみたら「この人で実験したいっていう人を犯人に仕立て上げるとか出てくるんじゃない、この人で実験したいって」と言われ、確かにもっともだ。んんー。ここはやっぱりこういうオチだ。リンカーン・ライムみたいな人がいればなぁ。そうなんだよ、必要なのはリンカーン・ライムみたいな人なんだよなぁ。